ジャンクアンプをMATCHLESSに!


真空管(チューブ)ギターアンプ製作初挑戦ORANGE TINNY TERRORの成功に記を良くして
もう1ランク上の、ライブでも使えるパワーのあるアンプを作りたくなったが
真空管アンプの部品ってのは出力がデカい用になると一気にコストが高くなる。
パーツ表を作って概算してみても、
たとえば20万クラスのマーシャルを作ろうとしたらパーツ代で10万くらいかかる。
そんだけあれば中古が買えるし、作って鳴ればいいけど鳴らなきゃただの重い箱である。
感電して天国列車に飛び乗って行くリスクを背負ってやる趣味ではない。

趣味工作だと15wくらいがちょうどいいんだろな。
とか思ってたんだけど、ハタとひらめいた。
真空管アンプ製作で一番コストがかかるのが電源トランスと出力トランス。
で、コイツらは電気部品の中では比較的劣化しにくいパーツ。
ってことは・・・・
ジャンクの「壊れてます」「音出ません」なんていうボロい古いアンプ買って
改造しちゃえばいいんでないの?

てなわけで数日間ヤフオクに張り付き「ジャンク」をキーワードで検索をかけて
ウオッチしながら虎視眈々と条件に見合うブツを狙う。
で、ゲットしたのがコイツ。

60年代の国産アンプGUYATONE。
「電源入りませんので出音確認できません」ってジャンク。送料込みで8000円弱。
パワー管に7591っていう真空管が2本入ってる35Wアンプ。
当時の日本のサーフロックやGSを支えたイカしたヤツ。
昭和レトロな外観もグーだね。

さてさて、コイツをどう料理してやろうか。
正直手に取ってみると数十年ぶりに本来のグヤサウンドを響かせてやれるように
再生したくなった。
が、すでに修理の手が入っており、そいつが途中でサジ投げたのか、
中身は配線が外れてたり、リバーブユニットがなくなってたりでグシャグシャ。
試しに配線し直して点火してみると出力管が見る見る内に赤熱。
本来なら真空管は綺麗なオレンジ色の光が滲むように発光するんだけど
流れてはいかんトコへ電流が流れ込んでると真っ赤になる。
コレ↓は他のアンプだが、あなたのアンプがこんな風になってると即入院です。

原因は高電圧を一身に受け止めてた40年前のコンデンサの劣化。
コンデンサは総換えせねばなるまい。
ならばやっぱり、いっそのこと、
中身は全部くり抜いて新たな生命を吹き込んでやろうじゃねーの!

さて、どんなアンプにしてやるか?
すでに十数種類の回路図をアメリカのサイトを巡ってゲットしてるので
回路図をめくりながらGUYATONEを裸に剥いて
電源トランスの出力電圧、電流容量に見合うよう策を練る。
ちなみにアメリカでは機材を自分好みに改造したりイチから作ったりするのはそんな特殊な趣味ではないらしく、
アンプやエフェクターの回路解析したサイトがいっぱいあって
メーカー側も特にうるさい事は言ってないみたい。
ユーザーのDIY精神が旺盛でメーカー側も大らかなんだろね。

Orangeが第一候補だったんだけど、あのアンプって
オレンジ色のキャビ&白いパネルがあってのステージでの存在感、
コレモンなんだよねー。
この見た目は大事。
フェンダーもマーシャルもVOXも無理すりゃ買うことができる。
ここは俺が一生かかっても買えない、
いや、買う気が起こらないアンプにしてやれ!

ってなわけで、ターゲットになったのは・・・
マッチレスのチーフテン。!!
兄弟分のDC-30は何度かリハスタで鳴らしたことがある。
サウンドはVOXアンプ系で俺の好みだったな。
定価47万ですぜ、47万。
中古でも30万を切ることはない。
普通そんだけありゃ中古で程度のいいVOXアンプとギター買うよっつーの。


さてさてお次はいよいよ500Vの電気を扱いますよ!
粗忽な俺は慎重にいかねば!「指先が吹っ飛んでギター弾けなくなった!」って泣きかねんよ。

さてさて、オークションで入手したGUYATONEの腐ったアンプ。
ネットでもなかなか情報が集まらないんだけど
たぶん'66〜68年くらいのモデルかな?
俺と同い年くらいね^^ 親近感〜w
中はホコリと錆で経年を感じさせる。

もう再生はあきらめ、生まれ変わらせる事に決定したので
プリアンプ部はバリバリと撤去。
ちなみにギターアンプの中身は大まかに
・ギターアンプのサウンドキャラクターを決定するプリアンプ
・プリで作られた信号をスピーカー鳴らせるくらい電力アップさせるパワーアンプ
・電源部
に分けられる

今回は
1)プリアンプ部:MATCHLESSチーフテンの回路を移植。
  音出ししながら各パーツを調整していく。
2)パワーアンプ部:真空管以外のパーツを新品に交換するのみでほぼオリジナルのまま使用。
3)電源部:交流を直流に整流する回路をオリジナルは真空管整流しているのだが
  この真空管が逝きかけている。てか試運転時に逝ったww
  コスト面と今後野外ライブの過酷な使用に耐えれるようにするため
  シリコンダイオード整流回路に置き換えする。
  電解コンデンサはとっくに寿命がきているはずなので総替え。
  
さーって、取り掛かりますカー

このアンプのレイアウトがちょっと特殊なので部品配置に悩む。
結局元の基板を使って表面にラグを打って表面実装。

うーん、耐久性に問題あるかなー。
けどこんな実装したアンプ見たことないゾw
まさにマイオンリーアンプ!!

パワーアンプ部と電源部はパーツを新品に。
けど劣化しにくくて「今時こんな部品使わねーぞ!?」なんて所は
オリジナル機に敬意を表してそのまま使用する。
配線材は心細いくらいヘナヘナだったんで高耐圧のものに交換

各所にテスターを当てて配線確認。
「よっしゃ!!」と気合が入れば、いよいよ点火。
回路のあちこちに200〜450V程度の電気が流れるわけだ。
緊張の一瞬。
過去には点火と同時に煙吹かせた前歴ありww
生唾飲んでスイッチオン!!

電源トランスが数百ボルトを送り出す時の独特の匂いが昇る。
異臭ではない。
ふむ、どうやら煙も出てないしコンデンサが爆発する気配もない。
所定の場所にちゃっと電圧がかかってるかテスターを当てる。

一応感電防止のゴム手袋をするが集中するとめんどくさくなるww

どうやら無事なようなので、ギターをつないで再点火。
真空管アンプは音が出るまで十数秒のタイムラグがあるのでヤキモキするなー。
ブゥゥゥーーーンというノイズがスピーカーから徐々に響いてくる。
ギターの弦をはじくと、ギャリーーン!!

やたっ!音出た!!!

けど、ちょっとノイズがでかいなぁ。

音が出たからといって完成ってわけではない。
実はココから長く地道な作業が待ってるのだよ。

とりあえず、各ボリューム、トーンコントロールのつまみを回して効き具合の検証。
ミドルの効き方が独特だなぁ。
ベースがやたら効き過ぎるクセにトレブルの効きは甘い。
参考にしたMATCHLESSの回路は経験と技術を持つエンジニアがこだわりを持って設計したのはわかっている。
しかし市販品なので何万人というそれもプロからビギナーまでいろいろなタイプのギタリストが使って誰もが「おーっマッチレスすげーよ!」と満足できるように設計されている。
いわゆる余裕の部分があるわけだ。
自分しか使わないアンプならその部分は贅肉でしかない。
せっかく自作したのなら余計な部分は削ぎ落として、より自分好みのピーキーなチューニングにしたい。

さて、まずはノイズ対策。
真空管アンプの厄介なところは配線の取り回し様によってノイズ混入の原因になる事。
アース線や信号線の取り回しをいろいろ変えてみたりして、やっと納得いくレベルまでノイズを下げることができた。

さいわいハムノイズの混入はほとんどない。
これはGUYATONEのもともとの設計がいいんだね。
整流回路をシリコンにしたのも正解かも。


プリアンプ部
一番重要なフェイズ前のコンデンサはERO、WIMAのポリカービネイド製のドイツ勢がずらりと並んだなぁ。
結局、色の好みになったか?(笑

パワーアンプ部

イギリスのアンプに触発されたアメリカ人エンジニアが試行錯誤した回路を
日本人が日本の古いアンプをベースにしてドイツのコンデンサを組み込みウハウハしてる。
グローバルなアンプになったぞw
真空管はGUYAに元々付いてた東芝クンと松下クン。
年代のわりに元気だったのが幸いだが、2〜3年の内には交換せねばならんだろう。
現在入手が容易なのはロシア製かスロバキア製だな。
ますますRoll Over The Woldなアンプになっていくなw

これで一応完成としておこうか。
これからも音の嗜好が変わればあちこち弄られるだろうし
(気が変わったら明日にでも弄るかもしれないw)
内臓移植の大手術もまたあるかもしれないが、
「エレキギターはアンプも含めてやっと一つの楽器なんだよ」
と言ったのはレオ・フェンダーさんだっけか?

たっぷり愛し合おうぜ!!!